仮想通貨が初めて実社会で利用されたのは、2枚のピザの注文でした。
実際には今のように仮想通貨支払い出来るお店がなかったために、アメリカのエンジニアが当時それほど価値が認められてないビットコイン1万枚とピザを交換しようと掲示板に投稿したことがきっかけです。
その掲示板の呼びかけに応じた視聴者が、1万枚のビットコインを受け取る代わりにエンジニアの自宅にピザを届けました。
このやりとりが行なわれたのが2010年5月22日、世界で初めてビットコインがお金の代わりに支払いができた記念すべき日として「ビットコインピザデー」と呼ばれています。
今でもビットコイン開発者達・関係者らは、記念日にピザを食べてお祝いをしています。
現在では実際に仮想通貨決済を利用して、各サービスが受けられるようになりました。
まだ当たり前にどこのお店で利用できる段階まできていませんが、確実に利用者数が増えてきています。
仮想通貨決済を利用するにあたってメリットやデメリット、仮想通貨決済を導入して反響のあったお店を紹介していきます。
仮想通貨支払いとは?
仮想通貨支払いとはその名の通り、サービスや商品を購入する際に日本円の代わりに支払いを済ませることができる方法です。
なぜこの支払い方法に注目が集まるようになったかというと、仮想通貨を利用すると支払いを簡単にでき手数料も安く済むからです。
インターネット上で仮想通貨を使って支払いをする時は送金先のアドレスと金額の入力、実店舗で利用する時はモバイルにインストールしたウォレットを利用してQRコードを読みとるだけで決済が完了します。
いつも持ち歩くモバイルだけで簡単にサービスを受けれるという利便性と仮想通貨支払いに対応する店側の双方にメリットがあります。
それでは仮想通貨支払いで利用する人はもちろん、導入するお店側にはどのような理由があるのでしょうか?
仮想通貨支払いのメリット
仮想通貨決済はクレジットカードと比較されますが、やはり仮想通貨決済のメリットは仲介業者を通じていないため手数料が安いという点です。
クレジットカードでは1回の支払いでは手数料がかかりませんが、ボーナス払い・リボ払いといった複数回の支払いには手数料が必要となり実は店舗側もカード会社に支払う手数料を負担しています。
通常店舗側がカード会社に支払う手数料を上乗せして請求はできませんが、店側としてはカード払いの利便性の代わりに顧客にサービスとして提供できるものがもっとあるはずです。
真の対価として店舗側に支払うことができるのが仮想通貨決済で、店舗側も今まで強いられていた仲介業者に支払う手数料を減らすことができるのです。
仮想通貨決済は手数料が安いといわれている反面、スケーラビリティ問題という人気通貨の送金づまりが問題になっていますね。
現状、問題になっているビットコインについても手数料の高騰と決済にかかる時間が指摘されていますが、解消されて将来的にはほぼ無料に近い形に近づくのではといわれています。
ビットコインではスケーラビリティ問題解消のためSegwitという技術が導入されました。
ブロックチェーンの取引データを格納できるブロックにひとつひとつの取引データを圧縮することで、実質的にブロックに収まるデータを増やしていこうという技術です。
ではどうやって1つのブロックサイズはそのままで、取引データを圧縮できるのか?という疑問が残りますね。
それはSegwitは電子署名データと取引データを分離させることができ、トランザクション中にある容量の大きい署名データを別の領域に移動できるのです。
最大で4MBのデータを1MBデータに格納でき、電子署名が別の領域に保管されるので外部からトランザクションIDを変更されることはありません。
これまでのビットコインアドレスからSegwit に互換性のアドレスに変更することで、取引におけるコストを元の水準まで引き下げることに成功している仮想通貨取引所もあります。
このように仮想通貨業界では、仮想通貨支払いの普及により取引量の増加や手数料の引き上げが見込まれるため開発が進められています。
仮想通貨支払いのデメリット
仮想通貨支払いのデメリットは決済の際に税金の対象とみなされる場合があることです。
日本では仮想通貨は「モノ」や「サービス」としてではなく、「支払い手段」として明確に位置づけられています。
仮想通貨法とわかりやすく呼ばれていますが、実際には「資金決済法」の改定で2017年4月から仮想通貨への対応が法律に盛り込まれています。
仮想通貨の売買の利益(20万円以上)を得た場合は雑所得として区分され、仮想通貨を決済で利用すると同じく利確されたとみなされて課税対象になります。
源泉徴収されない仮想通貨の税金は、確定申告によって納める必要があります。
例えば日本円で10万円投資に利用して、価格が日本円の30万円相当に上昇したとすると差額の20万円分が課税対象になります。
その20万円分を仮想通貨決済に利用すると課税対象になり、投資資金の10万円は日本円に換金しなければこのタイミングでは課税されないのです。
こういったことから、仮想通貨を購入した金額と仮想通貨決済に使用したタイミングの金額を把握しておく必要があります。
複数の取引所を利用している人や取引回数の多い人はこういった計算を便利するツールがあり、取引所と連携して自動で損益計算が出来るものがあります。
CRYPTACT(クリプタクト)は国内の仮想通貨取引所のBitflyer・Zaif ・QUOINEX ・GMOコインやBinance などの海外取引所を含む1680種類の仮想通貨における損益計算を無料でできる便利なツールです。
使い方はメールアドレスを登録して、各取引所の取引履歴をCRYPTACT にアップロードするだけと非常に簡単なものになっています。
仮想通貨支払いできる話題のお店は?
仮想通貨の普及により、実店舗での仮想通貨決済導入も徐々に増えてきています。
東京オリンピック開催に向けてキャッシュレス化が進んでいますが、クレジットカード決済は店側にとっても導入したいところです
がなかなか取り入れられない事情もあるようです。
初期費用にかかるコスト・決済時にかかる手数料の負担・決済金額の口座への反映期間など、これらが導入の妨げになっています。
そういった事情とインバウンド需要の高まりにつれ、仮想通貨決済を利用する店舗も増えてくるでしょう。
外国人観光客にとって自国の預金を日本へ送金することは、手間と時間と高い手数料が必要になり不便さを感じています。
海外送金より安い手数料で送金スピードも速いので、仮想通貨の決済を利用する外国人も増加していくことが見込まれます。
店舗側にとっても今までクレジットカード払いの店舗側が負担する手数料で導入をためらっていたお店も、スマホひとつで容易に取り入れることができます。
では実際に仮想通貨決済を導入している人気のお店を紹介していきます。
仮想通貨支払い対応の話題のお店NEMber・焼肉たむらとは
NEMber は2017年12月に仮想通貨NEMの愛好家や投資家さらには開発者が集まるお店を目指してオープンした渋谷にあるバーです。
仮想通貨チャートが店内に表示してあったり、仮想通貨グッズが購入できたりと一風変わったお店の雰囲気です。
店内では投資の勧誘は一切禁止されているので、安心して仮想通貨バーならではのネーミングのメニューを楽しめることができます。
もちろん日本円でも利用できますが、NEM(ZEM)でお会計を済ませると10%割引といった特典があります。
仮想通貨で支払いをしてみたい方は、モバイル用のスマホアプリ「NEMウォレット」をインストールしましょう。
モバイル用だけのウォレットだと万が一、紛失したり故障した場合が大変なのでデスクトップ版の「NanoWallet」と同期させて、使う分だけNEMウォレットに移して置くと安心です。
NEMberでは他にビットコイン・ビットコインキャッシュが決済に利用でき、モナコインの導入予定があります。
同じく焼肉たむらは吉本芸人・たむらけんじさんがオーナーのお店です。4月20日から本店の蒲生店でNEM決済を導入しています。
すでに仮想通貨について詳しい芸人さんであることが知られているとおり、去年の12月からビットコイン・ビットコインキャッシュの決済導入していたそうです。
焼肉たむらではNEM決済導入でNEM盛りというメニューが追加されました。
食べ終わったらお皿を見てみましょう。たむらさんらしい発想のメニューになっています。
今後他の店舗でもNEM決済を普及させていく方針で、現在は蒲生本店・福岡店・長崎店の3つで対応しています。
5月26日福岡にて開催される仮想通貨NEMをテーマにしたイベント「nemcafe 」で焼肉田村のコラボ企画があり豪華お食事券(福岡店のみで利用可)をNEM決済で販売されるそうです。
仮想通貨支払いで利用できる仮想通貨の種類は?
実際に日本国内で利用できる仮想通貨の種類は限られていて、ビットコインを導入後にその他の通貨も追加していくという店舗が多いようです。
前述したとおりNEMを導入した店舗がありましたが、日本で実店舗で利用できる仮想通貨の種類はどのくらいあるのでしょうか?
全ての通貨がひとつのお店で扱っているとは限りませんが、ビットコイン・ビットコインキャッシュ・イーサリアム・ネム・モナコインです。
この他コミュニティが盛んなXPが使えるカフェや、仮想通貨決済を積極的に導入しているうなぎ専門店川昌でBitseny・リップル・LISK などの他の店舗で導入されていない通貨の対応もしています。
市場で売買されている通貨の種類を考えると少なく感じられるかも知れません。
まだ明確な公式の発表はありませんが、実社会で利用できる通貨としてリップルが非常に話題になっていますね。
リップルは主に銀行間の送金として採用の方向性が予測されていて、三菱東京UFJ 銀行でリップルを用いて送金テストを開始する発表をしました。
供給側ともいえる金融機関での採用が決定すれば、自ずと仮想通貨支払いを検討する店舗が増えていきそうですね。
先月リリースしたばかりの日本企業が開発したGinco アプリでも、飲食店やECサイトの支払いに対応していくことが発表されています。
こういったインターフェイスがどんどん増えていくことで、日本でも仮想通貨支払いが主流になっていくでしょう。